最終的には看護部長が目標
経営に携わる役職
看護師長は現場の看護師を取りまとめる管理職ですが、さらに上の役職として存在するのが看護部の責任者である看護部長です。病院内にある各病棟の看護師長をはじめとしたすべての看護師を総括し、病院の経営に関わるポジションです。看護部長になるためには、看護師長として少なくとも5年以上の実績が必要です。そのため、最低でも25年以上の臨床経験を積む必要があると考えておきましょう。小さい規模の病院ならもう少し早く昇進できる可能性もありますが、基本的には50代以降に就けるポジションです。
看護部長が現場で看護業務を実施することはほぼありません。仕事はマネジメント業務が中心となります。そのため、リーダーシップ能力やコミュニケーションスキルだけではなく、マネジメントスキルが必要不可欠となるほか、財務や会計の知識、情報収集能力など一般の看護師とは大きく異なるスキルが求められます。
様々な役割を担う
看護部長の役割は多岐にわたります。具体的には、「各業務の計画や計画書の作成」「施設運営への参画」「運営側・労働側の調整」などが挙げられます。そのうえで、包括的にマネジメント業務を担っていきます。
看護業務の質を向上させるための計画書を作成する際には、現場の声を汲み取った看護師長が作成した計画をまとめたうえで、経営側の観点とすり合わせていく必要があります。そのため、経営者としての目線が求められます。また、看護部の運営だけではなく病院長を補佐する立場でもあるため、施設運営にも積極的に参画します。病院は患者からの治療費で運営されているので、財政状況を念頭に置きながら病棟編成や各種システムの調整をしていきます。ただし、患者に対して安全で安心感のある看護を提供するという使命を忘れてはいけません。
運営側と現場のスタッフの間には必ず考えの違いが発生します。そのため、双方の意見を大切にしながら、お互いが納得できる解決策を考えるのも看護部長として重要な役割です。それに加えて、医師や薬剤師などの各セクションと調整を行っていきます。
気になる収入面
看護部長はマネジメント業務がメインなので、臨床業務にて得られる手当はつきません。ただし、基本給が高く管理職手当も増加するので、多くの収入を得ることができます。運営規模にもよりますが、750万円ほどの年収を得られるケースもあります。その病院で働くすべての看護師のトップとして様々な役割を担うため責任は非常に大きいですが、それに見合うだけの待遇が用意されています。まさに、病院に勤務する看護師のキャリアにおける最終目標と言っていいでしょう。